年初めの肌寒い朝。
大江戸線春日駅からゆっくりと地上に上がり、ドームシティの方面へ少し歩くと、スーッと空に伸びる曲線が目に入ってきた。
記憶の中にあるようなはしゃぎ声は聞こえない。
人なんて元からいなかったかのような静けさが漂っていて、
まるで大きな静物画を見ているようだった。
もしあのてっぺんに立ったら、どこまで見渡せるのだろう。
子供の頃は、大人になったらどこへでも行けると思っていたけど、
案外いけない場所も多くてびっくりする。
でもそんなの夢がないから。
近所の坊やには内緒にしておこうと思う。
また一つ秘密が増えてしまった。