考えたことをつらつらと。日々の記憶。

失恋でもしたのかしら

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女は失恋すると髪を切るという。

その気持ちはわからないようで、わからなくもない。

髪を切ると似合う服も変わって、鏡に映る自分が「新しい自分」に見える。

そうして髪を切る前の自分は「前の自分」になる。

あっという間に過去になる。いろんなことが。

たった5cm髪を切るだけで。

なんて簡単。簡単すぎる。

 

しかし私はいつも思う。

過去をこんな形で切り離せてしまえるほど、

「前の自分」の感情は軽いものだったのだろうかと。

そんなわけはない。そんなわけがない。

そう思うと、結局脱ぎ捨てられない「前の自分」が顔を出す。

いや、そもそも脱ぎ捨てたつもりもなかったのだけど。

結局私にとって「髪を切ること」はちょっとした儀式みたいなもので、

他のあらゆる儀式と一緒で信じなければ儚く効力を失うらしい。

信じれば永遠に魔法にかかっていられるのに。

いつからか疑うことを覚えてしまったがために、魔法が使えなくなってしまった。

大人って、めんどくさいなぁ。

あら私、失恋でもしたのかしら。

 

 

ちなみに魔法の代替品として大人が身につけるのは「だますこと」だと思う。

心はボロボロでも顔に笑顔を貼り付けて、相手をだまして、自分もだます。

だましてだまして、だましとおす。

それで救われるならそれでいい。

 

私は何度か挑戦してるけど、うまくいった試しがない。

顔に出てしまう、らしい。

そのうち急にうまくなったりするんだろうな。

ある日突然絵がかけるようになって、

ある日突然泳げるようになって、

ある日突然逆立ちができるようになったから。

同じように、ある日突然だませるようになるんだと思う。

まだ違う魔法は使えるのかもね。